男性不妊の原因・検査・治療|精液検査・DFI検査

男性不妊とは?原因から検査・治療まで

男性不妊とは、精子をつくる機能や精子の通り道、射精など、男性側の要因で妊娠に至りにくくなる状態です。
当院では精液検査に加え、必要に応じてDFI検査で精子DNAの状態も評価します。

STEP 01 精液検査 数・運動・形態を評価
STEP 02 DFI検査 必要に応じ精子DNAを評価
STEP 03 治療方針 夫婦双方の状態から検討
STEP 04 精子調整・受精 必要に応じ方法を選択
01 CAUSES

男性不妊の主な原因

男性不妊の原因には、精子をつくる機能の問題、精子の通り道の問題、性機能や射精の問題などがあります。

原因は一つとは限らず、複数の要因が関係する場合もあります。男性側の状態を確認する基本的な検査が精液検査です。

CAUSE 01 造精機能障害

精子をつくる機能に関する問題です。精子数の減少や運動性の低下などとして認められる場合があります。

CAUSE 02 精路通過障害

精子がつくられていても、精子の通り道に問題があり、精液中へ十分に排出されない状態です。

CAUSE 03 性機能・射精の問題

勃起や射精に関する問題によって、性交や精子の排出が難しくなる場合があります。

02 SEMEN ANALYSIS

男性不妊の基本検査|精液検査で分かること

精液検査では、精液量、精子の数、運動性、形態などを調べます。

当院では精液一般検査に加え、SMASやクルーガーテストを用いて精子の動きや形態も詳しく確認します。

WHO第6版(2021年)の参考値

精液量 1.4mL以上
精子濃度 1,600万/mL以上
総精子数 3,900万以上
総運動率 42%以上
前進運動率 30%以上
正常形態率 4%以上

※WHO第6版(2021年)の参考値です。基準値は診断の目安であり、数値だけで男性不妊の有無や妊娠の可否を判断するものではありません。

当院では精子の動きや形態も確認します

TEST 01 「数と運動率をヒトの目で見る」 精液一般検査

精液量、精子濃度、精子数、運動率など、精液の基本的な状態を確認します。

TEST 02 「機械で動きを数値化する」 SMAS

1秒間における精子の運動を自動解析し、運動率だけでなく動きの状態も確認します。

TEST 03 「精子の形態をより厳密に評価する」 クルーガーテスト

精子の頭部、頸部、尾部を高倍率顕微鏡で詳細に評価し、正常形態率を確認します。

03 SPERM DNA FRAGMENTATION

精子DNA断片化(SDF)とDFI検査

SDFは精子DNAが断片化した状態を指します。DFIは、精子DNAがどの程度断片化しているかを示す指標です。

一般的な精液検査では、精子の数・運動性・形態などを評価します。一方、DFI検査では精子DNAの状態を別の視点から評価します。

一般的な精液検査

精液や精子の基本的な状態を評価します。

  • 精液量
  • 精子濃度・精子数
  • 運動率
  • 正常形態率
DFI検査

精子DNAの損傷の程度を評価します。

  • 精子DNA断片化の評価
  • 精液一般検査とは異なる情報
  • 当院ではSCSA法を使用

当院のDFI検査

当院ではSCSA法によるDFI検査を行っています。

フローサイトメトリーを用いて精子DNAの状態を評価し、検査結果を低度・中度・高度の3段階で確認します。

低度DFI 15%以下
中度DFI 15~30%
高度DFI 30%以上

※実際の判定は検査レポートに基づいて行います。DFIの数値だけで治療方法を決定するものではありません。

DFI検査は自費診療です 費用は改定される場合があるため、最新の料金表をご確認ください。
料金表を見る →
04 OUR DATA

新橋夢クリニックのDFIデータ

当院でDFIを測定した182例の院内解析です。
RESEARCH DFIの分布・精液所見・ART成績との関係を解析

DFIの分布や精液一般検査との関係、体外受精・顕微授精後の胚発生や移植成績について解析しています。

対象 182例
高度DFI(30%以上) 7.1%
新橋夢クリニックでDFIを測定した182例のDFI分布。高度DFI30%以上は13例、7.1%。
当院でDFIを測定した182例の分布
研究結果

182例のうち、DFI 30%以上の高度DFI症例は13例で、全体の7.1%でした。

PEER-REVIEWED PAPER Performing a sperm DNA fragmentation test in addition to semen examination based on the WHO criteria can be a more accurate diagnosis of IVF outcomes Okubo T, et al. BMC Urology. 2023;23:78. DOI: 10.1186/s12894-023-01257-y
研究時のDFI測定法について

2023年のBMC Urology掲載論文ではSCD法を用いてDFIを測定しています。現在、当院で行っているDFI検査はSCSA法です。

05 DFI & ART OUTCOMES

DFIと精液所見・受精・胚発生の関係

一般的な精液検査の結果だけでは、精子DNAの状態まで判断することはできません。

当院データでは、DFIと年齢・運動率・正常形態率との間に相関が認められましたが、精液検査の各項目とDFIが完全に一致するわけではありません。

DFIと精液検査の関係

RESEARCH 精液検査の各パラメーターとDFIとの相関を解析

年齢、精液量、精子濃度、総精子数、運動率、正常形態率とDFIとの関係を調べました。

年齢
年齢が高くなるほどDFIが高くなる正の相関が認められました。
精子運動率
運動率が低くなるほどDFIが高くなる負の相関が認められました。
正常形態率
正常形態率が低くなるほどDFIが高くなる負の相関が認められました。
研究結果

精液検査の一部の項目とDFIには関連がみられますが、一般的な精液検査だけで精子DNAの状態を判断できるわけではありません。

DFI別の正常受精率

RESEARCH DFIの程度と正常受精率を媒精方法別に解析
ICSI(顕微授精)正常受精率
低度 79.9%
中度 80.4%
高度 75.9%
P<0.05
C-IVF(ふりかけ法)正常受精率
低度 80.6%
中度 78.7%
高度 88.5%
N.S.
研究結果

ICSIでは高度DFI群の正常受精率が75.9%と低下し、統計学的有意差が認められました。一方、C-IVFではDFI群間に統計学的有意差を認めませんでした。

良好胚盤胞発生率

RESEARCH 正常受精後の良好胚盤胞発生率をDFI別に比較
低度DFI 31.7%
中度DFI 31.4%
高度DFI 27.2%
研究結果

正常受精あたりの良好胚盤胞発生率は、低度DFI 31.7%、中度DFI 31.4%、高度DFI 27.2%で、高度DFI群で低下が認められました。

良好胚盤胞を移植した後の成績

移植あたり臨床妊娠率
低度 62.9%
中度 59.3%
高度 66.7%
N.S.
移植あたり生産率
低度 52.9%
中度 40.7%
高度 50.0%
N.S.
研究結果のまとめ

当院の解析では、高度DFI群でICSIの正常受精率や良好胚盤胞発生率が低くなる傾向がみられました。一方、良好胚盤胞まで発育し移植できた場合には、臨床妊娠率・生産率について各DFI群間に統計学的有意差を認めませんでした。

結果の解釈について

高度DFI群の良好胚盤胞移植は6例と少数です。統計学的有意差がないことは、各群の成績が同等であることを証明するものではありません。

出典:Okubo T, et al. BMC Urology. 2023;23:78. 論文情報

年齢・禁欲期間とDFI

RESEARCH 当院98例で生活習慣などとDFIとの関連を調査

年齢、喫煙、飲酒、禁欲期間、運動、サプリメント服用について検討しました。

研究結果

年齢と禁欲期間でDFIとの有意な関連を認めました。一方、この調査では喫煙、飲酒、運動、サプリメント服用について統計学的有意差を認めませんでした。

※院内調査で認められた関連であり、年齢や禁欲期間がDFI上昇の原因であることを直接証明するものではありません。

06 TREATMENT STRATEGY

DFIが高い場合はどうする?

当院の考え方 DFIの数値だけで治療方法を決めるのではなく、夫婦双方の状態やこれまでの治療経過をあわせて検討します。

精液所見、女性側の状態、これまでの受精・胚発生などを確認し、必要に応じて受精方法や精子調整法を検討します。

精液検査 数・運動・形態
DFI評価 精子DNAの状態
精子調整 回収方法を検討
受精 C-IVF・ICSI

DFIは治療方針を考えるための情報の一つです。単独の数値だけでC-IVF、ICSI、精子調整法などを決定するものではありません。

07 SPERM PREPARATION

良質な精子を回収するための工夫

当院では、精子の状態に応じて遠心分離法や、遠心操作を行わない精子調整法を使い分けています。

一般的な精子調整では遠心操作を行って精子を回収します。一方、MIGLISでは遠心操作を行わず、運動性のある精子が自ら移動する性質を利用して回収します。運動性は従来法と大きく変わりませんが、遠心操作による物理的な負荷を避けられる点が特徴です。

一般的な遠心分離法
一般的な遠心分離による精子調整法
遠心操作を行って精子を分離・回収します。
遠心操作
あり
回収率
約10~60%
運動性
良好
化学的特性
不明 (精製液に化学薬品使用)
DNAの損傷
あり (遠心分離による影響)
DNA損傷率(%)
低い
特徴
遠心操作により、比較的多くの精子を回収しやすい
MIGLISによる非遠心精子調整
MIGLISによる遠心操作を行わない精子調整法
遠心操作を行わず、運動性のある精子が自ら移動する性質を利用して回収します。
遠心操作
なし
回収率
約5~10%
運動性
良好
化学的特性
なし (精液をデバイスに注入するのみ)
DNAの損傷
遠心操作なし (遠心操作による物理的負荷を避けて回収)
DNA損傷率(%)
極めて低い
特徴
遠心操作を行わず、物理的な負荷を抑えて良質な精子を回収
一般的な遠心分離法
一般的な遠心分離による精子調整法
遠心操作を行って精子を分離・回収します。
MIGLISによる非遠心精子調整
MIGLISによる遠心操作を行わない精子調整法
遠心操作を行わず、運動性のある精子が自ら移動する性質を利用して回収します。
比較項目遠心分離法MIGLIS
遠心操作ありなし
回収率約10~60%約5~10%
運動性良好良好
化学的特性 不明 精製液に化学薬品使用 なし 精液をデバイスに注入するのみ
DNAの損傷 あり 遠心分離による影響 遠心操作なし 遠心操作による物理的負荷を避けて回収
DNA損傷率(%) 低い 極めて低い
特徴 遠心操作により、比較的多くの精子を回収しやすい 遠心操作を行わず、物理的な負荷を抑えて良質な精子を回収

精子調整前後の精子DNA損傷率

RESEARCH 精製前・遠心分離後・非遠心分離後の精子DNA損傷率を比較
研究結果

精子DNA損傷率は、精製前15.4%、遠心分離後4.7%、MIGLISによる非遠心分離後2.0%でした。

PEER-REVIEWED PAPER 微小流体力学法および移動重力沈降法で選別処理した精子の運動能とDNA断片化の評価 大久保毅ほか. Journal of Mammalian Ova Research. 2020;37(2):107-111.

高度DFI症例の正常受精率

RESEARCH 高度DFIのICSI症例で遠心分離法と非遠心分離法を比較
遠心分離法 72.1%
非遠心分離法 80.3%
研究結果

高度DFIのICSI症例では、正常受精率は遠心分離法72.1%、非遠心分離法80.3%で、統計学的有意差を認めました。

出典:大久保毅ほか、日本受精着床学会 2023

胚盤胞発生について

高度DFI群の良好胚盤胞率は遠心分離法21.2%、非遠心分離法20.2%で、統計学的有意差は認めませんでした。正常受精率の結果だけから、胚盤胞発生率や妊娠率の改善まで結論づけることはできません。

MIGLISとZyMōtの違い

MIGLISとZyMōtはいずれも遠心操作を行わない精子調整法ですが、精液を注入できる量が異なります。

当院資料では、ZyMōtは約1mL、MIGLISは最大3mLまで注入でき、この検体量の違いが回収できる精子量の差につながります。

比較項目ZyMōtMIGLIS
遠心操作なしなし
注入できる精液量約1mL最大3mL
回収率約1%約5~10%
運動性良好良好
DNA損傷率極めて低い極めて低い
比較結果

ZyMōtとMIGLISでは処理できる検体量が異なります。当院資料では、ZyMōtは約1mL、MIGLISは最大3mLまで注入でき、回収率はそれぞれ約1%、約5~10%です。

回収率の違いについて

回収率の差を、精子選別性能そのものの優劣として示すものではありません。両者では精液を注入できる検体量が異なります。

ZyMōtと受精方法について

当院資料では、ZyMōtは回収できる精子量が少なく、C-IVF(ふりかけ法)に必要な精子数を確保しにくいため、ICSIでの使用となります。

08 EXAMINATION & TREATMENT

男性不妊の検査から治療まで

当院の治療方針 男性側だけで治療方法を決めるのではなく、夫婦双方の検査結果やこれまでの治療経過を確認して治療方針を検討します。
精液検査 男性側の基本評価
DFI検査 必要に応じて実施
治療方針 夫婦双方から検討
受精・精子調整 状態に応じて選択

新橋夢クリニックの男性不妊への対応

当院では、精液検査で精子の数・運動性・形態などを確認し、必要に応じてDFI検査で精子DNAの状態を評価します。体外受精を行う場合には、夫婦双方の検査結果やこれまでの受精・胚発生の経過を確認し、受精方法や精子調整法を検討します。

男性不妊のご相談・初診予約

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監修医師

瀬川 智也 (せがわ ともや)
新橋夢クリニック 理事長・院長
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本生殖医学会認定 生殖医療指導医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医